日本の文学作品に多種多様に取り入れられてきた漢故事（＝中国故事）。 本文に直接依拠したもののみだけでなく、逸脱・展開した形でも用いられるが、出典の明記がなされないことも多く、その故事が人々に知られていることが前提となっている。漢故事は、規範や例証として絶対的な価値をもって用いられながら、変化しつづけ、それでいて共有の知的基盤たり得ている。 漢故事は日本においてどのように語られ、どのように学ばれ、そしてどのように拡大していったのか。時代やジャンルを超えた様々な視点から見つめることで、融通無碍に変奏する〈知〉の世界とその利用を切り拓く。 はじめに 森田貴之 第一部　歌われる漢故事ー和歌・歌学 「春宵一刻直千金」の受容と変容 大谷雅夫 亀の和歌に見られる「蓬莱仙境」・「盲亀浮木」などの故事について 黄一丁 初期歌語注釈書における漢故事ー『口伝和歌釈抄』を中心に 濱中祐子 中世和歌における「子猷尋戴」故事の変容 阿尾あすか 第二部　語られる漢故事ー物語・説話・随筆 『伊勢物語』第六十九段「狩の使」と唐代伝奇 小山順子 『源氏物語』胡蝶巻における風に吹かれる竹 瓦井裕子 西施・潘岳の密通説話をめぐってー『新撰万葉集』から朗詠古注まで 黄イク 延慶本『平家物語』の李陵と蘇武 森田貴之 第三部　座を廻る漢故事ー連歌・俳諧・俳文 故事と連歌と講釈とー『故事本語本説連歌聞書』 竹島一希 「負日」の系譜ー「ひなたぼこ」の和漢 河村瑛子 其角「嘲仏骨表」に見る韓愈批判ー「しばらくは」句の解釈をめぐって 三原尚子 俳諧の「海棠」-故事の花と現実の花 中村真理 第四部　学ばれる漢故事ー日本漢文・抄物・学問 平安朝の大堰川における漢故事の継承 山本真由子 中世後期の漢故事と抄物 蔦清行 桃源瑞仙『史記抄』のことわざ「袴下辱」について 山中延之 五山文学のなかの故事─邵康節を例に 堀川貴司 第五部　拡大する漢故事ー思想・芸能 花園院と「誡太子書」の世界 中村健史 李広射石説話と能『放下僧』-蒙求古注からの展開 中嶋謙昌 浄瑠璃作品と漢故事ー近松が奏でる三国志故事 朴麗玉 漢故事から和故事へー『本朝蒙求』に見える詩歌の文学観 クリストファー・リーブズ 日本人と中国故事 木田章義 あとがき 小山順子

3,080円

日本人と中国故事

「性とは何か」を教えてくれるのは決して「性研究書」ではない。小説の優れた「性の描写」こそが官能の歓びの真実を教えてくれる。

1,100円

谷沢永一もう一度読みたい昭和の性愛文学…

本書は、古典から近代文学にいたる名作１００点を選び、そのすぐれて感動的な文章を、原文のまま掲載し、次のページに梗概・解説・エピソードなど作品味読に役立つ知識を、きわめて平易に紹介したものである。

1,324円

一冊で100名作の「さわり」を読む…

日本の古典文学、昔話・昔語り・お伽噺・現代文学・エッセイ・映画などのあらゆる表現作品から、老人排除を扱った作品を抽出し、その歴史的背景や実際の老人の生活がどのようなものであったかを考察することで、日本における過去と現在まで連なる「高齢者問題」とは何かを追求した労作。 第一章　古典文学の中の「棄老」「姨捨」 　第一節　外国の説話が元になっているもの／第二節　国内の説話と思われる話／第三節　信濃の国の姨捨山とその周辺／第四節　古典文学の中の「棄老」「姨捨」考察 第二章　昔話・昔語り・お伽噺の中の「姥捨山」 　第一節　『日本昔話通観』の「姥捨山」等／第二節　柳田国男の「親殺し」「棄老」／第三節　関敬吾『日本昔話大成』の「親捨山」他／第四節　『日本伝説大系』の「うばすて」／第五節　お伽噺の中の「姨捨山」・「姥捨山」／第六節　昔話・昔語り・お伽噺の中の「姥捨山」等の考察 第三章　近現代表現の中の老人排除 　第一節　棄老伝説を元にした小説／第二節　和歌や俳句の心情を継承するもの／第三節　メタファとしての「姨捨」／第四節　近現代家族の中の「姥捨」／第五節　社会の中の「姥捨」／第六節　近現代表現の中の老人排除についての考察

3,520円

表現の中の「うばすて」…

「極西文学」-それは１９６０年代後半以降に生まれ、９０年代に書き始めた現代日本文学の作家達を呼ぶ、仮の名前である。アメリカ文学、ポップカルチャー、テクノロジー、そして戦争の影…。村上春樹がかつて切り開いた日本のポップ文学の道。その先の道を高速で駆け抜ける現代作家たちを、同じ速度で伴走する最新型の文学論。

1,760円

極西文学論

文学表現は、はたして“環境”と共生しうるのか…？田口ランディ、石牟礼道子、森崎和江、Ｔ・Ｔ・ウィリアムスらの再読を通して検証される、“人ー自然”の新たな結びつき。瑞々しい感性が放つ、鮮烈な環境文学論の誕生。

3,300円

水の音の記憶

4,290円

思想の機軸とわが軌跡…

「10歳の放浪記」の著者が描く、その後 これは児童文学作家・上條さなえさんの養護学園での1年を綴った自伝です。親を慕い、家族を想う子どもたちの気持ちが世代と時代を超えて私たちの胸に迫ります。

1,466円

かなしみの詩─「10歳の放浪記」その後…

久保田万太郎が小説、俳句、近代演劇、古典芸能などの各ジャンルに遺した多彩な業績や交流関係から人間像を詳細に掘り下げつつ、現代における万太郎研究を紹介する。

5,280円

久保田万太郎と現代

賢治文学の使命と試練の象徴としての「郵便脚夫」。未来時制に配達される手紙のような物語が、いままさに読まれ始める。

2,420円

宮沢賢治

「朦朧派」と呼ばれ、曖昧で独特な古井由吉の小説世界。その文体の構造に迫る。 語りのパースペクティブ 1・語りの位置 2・語りの奥行 3・見るものと見られるもの 「眉雨」論 1・語りの次元 2・語りの破調 3・語りの折り畳み 4・語りの並列化 5・語りの照り返し 6・語りの射程 7・語りの輻輳 8・語りの新たな地平

1,980円

古井由吉

日本近代文学を貫く魯迅・与謝野晶子・大庭みな子の「雑草」。文明と自然の接触、混合、衝突…文学の社会的文脈を明かす。

4,400円

雑草の夢

独自の経験概念に接地させて“読む”方法を探求する名著『古典の影』とそこに至る道を独力で切り拓いた『国学の批判』を収録。

9,900円

西郷信綱著作集（第8巻）…

明治期中期に『帰省』でベストセラー作家に。その後、徳富蘇峰に見出され「国民新聞」などで活躍。後年の聖学院教授、宗教家としての活躍と、天皇主義への不可解な傾斜…。戦後忘れ去られた知識人の生涯を、詳細な史料探索で復元する初の評伝！ 目 次／宮崎湖処子伝ーー甦る明治の知識人 口絵 はしがき 第一部　少年時代から上京へ 　第一章　少年時代ーー寺子屋・小学校・漢学塾・福岡中学 　第二章　東京専門学校時代 第二部　民友社時代 　第一章　民友社時代1 『帰省』習作時代 　第二章　民友社時代2 『国民新聞』での活躍 　第三章　民友社時代3　論争する湖処子 　第四章　若き湖処子夫婦ーー服部家宛て書簡と葉書集 　第五章　小説と詩の概観 第三部　聖学院時代 　第一章　聖学院神学校時代1　ディサイプルス派入信前後 　第二章　聖学院神学校時代2　活躍する宗教家 　第三章　聖学院神学校時代3　終わりの始まり 第四部　『電報新聞』と『国民評論』時代 　第一章　『電報新聞』時代 _第二章　『国民評論』時代 第五部　苦闘と混乱の晩年 　第一章　苦闘と混乱の晩年1　生真面目なキリスト教出版物 　第二章　苦闘と混乱の晩年2　狂ったのかそうでないのか 　第三章　苦闘と混乱の晩年3　霊性革命を唱える宗教家 あとがき 年譜 書簡・葉書一覧 人名索引

6,600円

宮崎湖処子伝

7,370円

古代中世文学論考（第49集）…

近江商人のふるさと・五個荘の豪商の家に生まれ、自らをモデルに商家の暮らしの明と暗を描ききった作家・外村繁。両親への手紙などをもとに、「筏三部作」や「澪標」といった作品が生まれた背景と作者の実像に迫る評論集。 電子書籍版も発売中。詳しくは各電子書籍サイト（honto、楽天kobo等）でご覧ください。

1,760円

外村繁の世界

労働者出身のプロレタリア作家は、知識人たちとどのように対峙し、社会主義と戦争の時代の中で作品を書き続けたのか。大衆性が持つ可変的性質（革新ー日和見ー保守）の観点から、徳永の文学活動を再検討。約半世紀ぶり・研究史上2冊目となる徳永直論。 序章　徳永直文学の再検討　 第一部 『太陽のない街』の大衆性と海外伝播 第一章　『太陽のない街』の背景　 第二章　『太陽のない街』の創作方法　 第三章　越境する『太陽のない街』　 第四章　ドイツにおける『太陽のない街 第二部　芸術大衆化とリアリズム 第一章　プロレタリア大衆文学論の意義　 第二章　純粋小説論と実録文学論の共時性　 第三章　「創作方法上の新転換」とその周辺　 第四章　〈島原女〉の身体と捨象　 第三部　徳永直の戦中・戦後 第一章　「八年制」と教育疎外　 第二章　「労働の価値」と国策　 第三章　完全転向と大衆化論の残滓　 第四章　戦後の出発　 結章　徳永直の大衆性が示すもの あとがき　 初出一覧　 付録　徳永直著作目録　 人名索引

4,950円

徳永直の創作と理論

6,160円

幸田露伴論

万葉集を根源的に読みなおすこと、その諸関係のなかにわが身を滑りこませ、古代という時代の生きた景観や声に出会うことー古典学７０年の集成、第２回配本。

9,900円

西郷信綱著作集（第4巻）…

７、８世紀、どんな地殻変動が、この国の歴史、文化、言語に起こっていたか。遺本による改訂版「スメラミコト考」を含む『神話と国家』、壬申の乱の意味を問い直す『壬申紀を読む』、最後の書『日本の古代語を探る』を収録。

9,900円

西郷信綱著作集（第3巻）…

3,850円

村上春樹と島田雅彦

霧のなかを歩む、それは現代に生きるわれわれの姿、五つの短編小説をめぐる霧のなかへの旅。各章ごとに、原作の香気と味わいをそのまま残した作品紹介を掲げ、作者略歴と入手可能な参考文献を付す。

1,100円

日本文学の扉をひらく（第一の扉）…

能楽研究・中世文学研究の泰斗　伊藤正義先生の業績を精選集成し、斯界に贈る。 著者が生涯を通じて取り組んだ文献調査・文献研究から生まれた成果。 第四巻は著者が先鞭をつけた「中世日本紀」研究に、幸若舞研究、宴曲研究などを加え、中世の文芸文化に底流する思想に迫る。 凡例 一　中世日本紀 　中世日本紀の輪郭ー『太平記』における卜部兼員説をめぐってー 　九世戸縁起ー謡曲《九世戸》の背景ー 　慈童説話考 　日本記一 神代巻取意文 　熱田の深秘ー中世日本紀私注ー 　続・熱田の深秘ー資料『神祇官』- 　了誉伝稿 二　文学史彷徨 　花と中世思想 　東山時代の文芸文化 　心敬・禅竹 　仮構の伝記ー中世の人丸ー 　大和宗恕小伝 　壬生寺縁起 　幸若舞曲についての覚書二、三 　中世文学研究への提言ー学界展望・中世　昭和五十五年ー 　文献調査とその資料性ー西教寺・正教蔵本をめぐってー 　能楽学会の発足に寄せてー能楽研究と文学史研究ー 三　宴曲を読む 　『宴曲集』巻第一「春」を読む 　『宴曲集』巻第一「春野遊」を読む 　『宴曲集』巻第一「花」を読む 　『宴曲集』巻第一「夏」を読む 　『宴曲集』巻第一「郭公」を読む 　 収録論文初出一覧 補注 解説 　資料から立ち上がる文学史・思想史ー〈伊藤学〉の神髄ー　 三木雅博 　金春流七十六世七郎広運関係書状二点についてー伊藤正義先生との調査行ー　天野文雄 索引（人名・書名・曲名） 月報…鶴崎裕雄・天野文雄・阿部泰郎・寺島修一

16,500円

伊藤正義中世文華論集 第四巻 文学史と思想史の間…

ヴィヨン、ランボー、ネルヴァル。フランスの三詩人を坩堝として、太宰治、小林秀雄、中原中也、石川淳、富永太郎、芥川龍之介、井伏鱒二らが行った「言葉の錬金術」に立ち会う書。近代日本文学の形成にフランス文学はどんな役割を果たしたか。

2,090円

言葉の錬金術

3,080円

〈教室〉の中の村上春樹…

1,650円

人間の驕慢を暴き戒める宇江佐真理さんの時代小説…

8,250円

感性の変革増補

2,310円

宇野千代

836円

文学者たちの大逆事件と韓国併合…

“北の想像力”の可能性を探るー北海道文学を世界と結ぶ論考の数々！総勢１９名による疾風怒濤の評論集！

1,980円

現代北海道文学論

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